桜梅桃李H29/4【ノラのお母さん】

2017.04.04

ロシアにノラ・クリコーワさんという老婦人がいます。
この方は、子ども達のための慈善団体「ドリトリー基金」の代表を務めています。

ノラさんの息子さんは、二十五歳の時に、チェルノブイリ原発の事故直後、まっさきに処理のため現場に飛び込み、その時の被爆が原因で、まもなく亡くなってしまったそうです。

ノラさんは当時、「もう、私は、この世で生きていけない。自分が生きている意味などない」と思ったそうです。
しかし、彼女は、絶望の淵から立ち上がります。
「息子は、人々を救うために生命を捧げた。そしてロシアには、今も苦しんでいる子ども達がたくさんいる。この子らのために、残された自分の人生を捧げよう」と決意します。

ノラさんは、国から支給された弔慰金をもとに、子ども達のための基金を設立します。
息子の名前「ドミトリ-」を冠した基金です。

どこから見ても、普通の老婦人は、みんなから“ノラのお母さん” と慕われています。

ノラさんは、ドミトリーさんに対して、精いっぱい愛情を注ぎ、かかわってあげながら育てたのだと思います。

「教育」は、「共育」と言いますが、ドミトリーさんへのノラさんの深い愛情が人のために危険を顧みない行動に表れ、それが結果として一度はノラさんの想像して余りある悲しみになったものの、最後はドミトリーさんの行動に触発され、人のために生きる、ノラさんの行動になったと思います。
大いなる「使命」に生き抜いてこそ、人間は悲しみを乗り越えることができるのでは、ないでしょうか。